
学生の時に衝動に近い気持ちでLondonを旅しました
Hello, mate!
さて、あれは6月23日のこと。仕事が休みだった僕は豪ドルと両替しようとPCの前にいて両替サイトを開いていました。
前日まで78~79円代だった豪ドルが80円を超えてきて円高に限りが見えてきたので、今後のオーストラリア移住に備えていまのうちに両替をしておこうと思ったのでした。
なんせ、少し前まで90円代から100円に届くくらいだったので80円でもお買い得感がありました。
そして、画面を見ながら両替のタイミングをうかがっていると、、、、
なんとみるみる豪ドルが下がって一時は72円をマーク!!!!!
結局、それは一瞬でしたが75円で両替をすることができました。なんてラッキーなんだろうと思ったのですが、、、、、
6月23日。イギリスがEU離脱を決めた日でした。
世界、特にイギリスの先行きがその日以来混迷を極め、今でもまだどうなるのかわかっていません。
僕も正直ショックでかつて英連邦の一部だったオーストラリアもどのような道をこれから歩むのだろうかと気になっています。
その時に大学時代、授業でヨーロッパ中世史の第一人者、木村尚三郎先生がEUについて良くお話されていたのを思い出したのです。
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図書館に行って木村尚三郎『ヨーロッパ思索紀行』を読んだ
木村尚三郎先生は中世ヨーロッパ史が専門でした。「題名のない音楽会」などTVにも良く出演し、また愛知万博のプロデューサーでもありました。僕は大学生のころ講義を受けたことがありました。
亡くなられたのは2006年で、『ヨーロッパ思索紀行(NHK BOOKS)』は亡くなる2年前に出された本です。
地元の市の図書館に行ったら閉架にあったのですが。。。数ページ読んで「これはすごい」と思ったのですぐに貸出手続きを取りました。
Brexit(英の欧州離脱)への示唆、そしてなぜEUが作られたか
法律も中世のヨーロッパ諸国はラテン語で作りましたが、最初からアングロサクソン語でつくったのがイギリスです。地中海のローマ文明から離れていただけでなく、アングロサクソンは自前の文化を最初から意識していたのです。イギリスはヨーロッパではないという気持ちは、いまだに心の底に残っています。『ヨーロッパ思索紀行』p.79
また本書には第二次世界大戦が多くの西ヨーロッパ人にとっては戦火に巻き込まれたという感覚が強く、一方連合国としてナチスという明確な敵がいたというイギリスとそれ以外のEU諸国の感覚の違いも存在するといいます。
EUは数々の戦争や動乱を得てヨーロッパの国々がキリスト教圏であるし実は「兄弟」国ではなかったかということでEUが成立拡大していった面があると本書は記しています。
一方、イギリスは宗教的にも文化的にも「島国」でEUとは毛並みが違います。例えばイギリスは慣習法の国で、文章化した法律がありません。
反面、フランスなどは成文法という違いもあります。
もう10年以上前に書かれた本であるのにEUそして、イギリスの行く末に関する示唆に富んだ本だと思いました。
多文化主義となっていく世界。一方、日本はどうなるか?
EUをはじめ、オーストラリア、カナダなどは多文化主義や多様性のある社会へ向かってきていたように思えます。
木村先生が「石油に支えられた社会が手詰まりを起こして、違うアイディアを持つ人と出会うため人々が魅力ある都市の間を行き来する時代がきている」
また「21世紀は20世紀のような国家の時代ではなく都市の時代」と授業でおっしゃっていたのをよく覚えています。
まだ10代の頃、初めてロンドンに行った時に、様々な肌の色の人、言語が飛び交っている風景にびっくりした覚えがあります。
他方で、英国のEU離脱もアメリカのトランプ現象も、いわば緩みつつある国家という枠組みへ回帰しようとする試みのように思います。
日本は本書でも言及されているように島国で、まだまだ外国人は珍しい。特に居住者は珍しく思われているようです。
うちのダーリンはよく、電車やショッピングセンターで知らない人から見られているように感じることがあるといいます。
また、僕も「奥さんは日本国籍を取ったの?」といわれることがあります。国籍を取ること自体手続きを含めて大変なことなのですが、結婚すると簡単に取れると思っている方が多いみたいですね。
勘ぐり過ぎなのかもしれませんが、国籍を取ったかそうでないかで「同化」の度合を測られているかのように感じてしまいます。
オリンピックを契機として多様性のある社会へ変貌するか
それとも現状維持となるのか
日本らしさを保ちつつ、選択肢の多い社会になって欲しいというのが個人的な気持ちです。
また少子化が進んでいる昨今、しかも子育てが難しくなっているなかで多少の「新しい風」が必要に思えてなりません。