AMEP=Adult Migrant English Programってご存知でしょうか?
パートナービザなど永住権を申請した人や永住権所持者や特定のカテゴリーのビザの人が無料で通うことができる英語クラスのことです。
以前こちらでも紹介しました。
通っていたAMEPをこの度晴れて修了したので、振り返ってみての感想を書いておこうと思います。
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そもそもAMEPって?
AMEPは英語が母語でない移住者向けの無料の英語クラスです。
最初、無料と聞いて日本でいう「駅前留学」的な感じのゆるい会話教室を想像していました。ところがこのAMEPはフルタイムの場合はTAFE(専門学校)に週5日午前9~午後1時(+2時15分までの自習時間)まで通う大盤振る舞いというか、普通にもう一度学生をやる「ガチ」のコースでした。
ちなみにパートタイムの場合は週5ではなく週3でした(友だち談)。
内容は英語の勉強が主ではありますが、settlement tips=家探し、教育制度、医療制度、救急の呼び方、仕事の探し方などを教えてもらえるのでそうした点もぼくが通おうと思った理由でした。これらの情報って意外と知らないし誰も教えてくれない情報でもあると思います。
AMEPに通うにはプロバイダとなる教育機関へコンタクトを取り、まずはレベルチェックを受けます。ぼくの場合は家の近くにあるTAFEへ申し込みました。
そもそもTAFEって何かという話になりますが、日本でいう専門学校と大学の中間のような教育機関で、アカデミズムよりも職業訓練にフォーカスしている印象です。さらにいうとTAFEは州政府の予算、Universityは連邦政府の予算で回っています。
勉強する内容は?
上記で書いたようにオーストラリアに住む上での基本情報と英語です。
英語に関してはプレゼンをやったり、エッセイを書いたり、ディスカッションをしたり、手紙を書いたり、ニュースを読んだりしたりするのが主でした。ここまでは日本の大学でやる英語の授業でもカバーされる内容かと思います。それに加え個人的に役に立ったのは「オージー独自の表現」を勉強できることでした。
例えば、
Outback = オーストラリアの内陸部
Bogan/Yobbo = 酒浸り、ごろつき
Bloke = 男
Feel crook = 気分が悪い(crookは本来「盗人」の意)
とかですね、オージー独特の表現を学べたのはとても良かったです。
また、政府のAMEPの無料の範囲はLevel 3まででした。ぼくはレベルチェックを受けた時にはLevel 4以上のクラスを勧められたのですが、永住権のないぼくの場合は授業料が半年約5000ドル。永住権がある場合は約1000ドルでしたから、申し込みをした時点では移住したばかりで右も左も、という感じだったので無料範囲のLevel 3に通うことにしました。
クラスメイトの英語力
Level 3のクラスレベルは「英語で仕事ができる程度」という風にいわれていました。ただ、AMEPの無料がこのレベルまでということで、英語を勉強しなおしたい永住権所持者もいて、すでにオーストラリアで就労の経験があり、英語も細かなミスを除いてコミュニケーションが取れるため生活基盤がある人だったり、母国で医者だった超インテリ系の人たちだったりもいました。
一方で、パートナーだったり、ビジネスビザの永住者だったり、お金と生活基盤はあるけれども英語が得意でない人がいるなど、かなりクラスメイトの英語力はまちまちでした。
個人的な感想ですが、レベルの差が激しいクラスだったように思います。
テスト、評価について
各学期末にはExit Testを行い、それが評価に繋がります。内容はWritingとReadingでした。Writingはエッセイと手紙。Readingはセンター試験より簡単な内容で、広告などを読んだりとTOEICと似たスタイルでした。
それ以外にもちょくちょく小テストがあるのですが難しかったのはListeningのテストで、オーストラリアの訛が強い会話を最初のうちは理解するのが困難でした。語彙もバーベキューの会話という設定で出てきた語Snag=Sausageとか知らなかったですし。。しかも設問が8〜9あり、ミスは1問まで。ぼくも何回か落としてしまい、かなり悔しい思いをしました。
クラスの雰囲気
ぼくの通ったLevel 3には、中国出身の実業家もいれば、医者や会計士もいて、19歳くらいの若い子でこれから大学進学を目指しているとか、シングルマザーとか様々な事情、年齢層の人たちがいました。上記でも述べたとおり、英語力も人それぞれといった感じ。
Term 2からは留学生も数人クラスに加わりました。彼らはだいたいIELTS 5.0~6.0くらいのようで、クラスで良い点をとって学部に進学しようとしていると言っていました。
日々のクラス人数はサボりの人たちもちょくちょくいましたが、大体20名前後でした。
チャーミングなクラスメイトたち
クラスの雰囲気はぼくたちの場合、和気藹々でした。変な人とか文句ばっかの人とかもいませんでした(笑)40~50代の落ち着いた大人のメンバーがいたのが良かったのかもしれません。
出身国で一番多かったのはもちろん中国です。
先生が「教室内は英語以外禁止ね!」とっても中国語でしゃべります(笑)声がよく響きますが、でも話してみると人懐っこくてチャーミングな人たちでした。日本については興味がある人もいて、「本当はオーストラリアではなくて日本の永住権が欲しかった」という人にも出会いました。「餃子作ったから食べる?」なんて言ってくれて、一緒にランチしたのは良い思い出です。
ただ、一回だけ若い子から「facebookを登録して」といわれて手渡されたケータイにぼくの名前を打ち込む時に検索履歴に「南京大虐殺」と出てきた時にはドキッとしました。ちょうどその頃に日本の某ホテルチェーンにからんでそのことが問題になった時期でした。
先生はとても親身だったけど、、
先生たちは基本的にはプロフェッショナルで、親身に話を聞いてくれました。
「今後どうするの?」とか将来のことも話をきいてくれて大変ありがたかったです。Student Serviceにはカウンセラーがいて、修了後の進路などについても相談に乗ってもらえますが、「まずは私たち教員に話してみて」と言ってくれました。
先生に陳情
担当の先生はずっと3人体制でしたが、一回メンバー変更があって新しく週2日担当になった先生がちょっと問題のある人でした。
ぼく以外にも他のクラスメイトたちも問題と感じるような人で、ネイティブではなかったものの「ANZAC」を「ANZAK」と書いたり、板書が汚かったり、教室についてからテキストめくって「今日は何をしようかな」っていうくらい準備をしていない教員でした。
あげればきりがないのですが、授業中に娘や友だちからの電話に出たり、「あたしはアメリカ英語の発音が嫌い。英国の発音が好きなの」と言いながらご自分は見事なロシア訛りの英語だったり、一部の喋れる生徒にずっと世話話を数十分もさせつづけて授業時間を浪費したりとなかなかな「人物」でした。
たまらず、コーディネーターの先生にみんなで意見しに行ったところ、真剣に耳を傾けてくれて、きちんとその教員とマネージャーに話をしてくれました。
それでもその教員は変わりませんでしたが、軽く見て邪険にせずにちゃんと聞いてくれた先生たちのプロフェッショナルな姿勢に助けられました。
AMEPの良かったところ
- サポート(教員、Student Service、医務室)
- 遠足などのリクリエーション(割引価格)
- 無料で勉強できた
- 仲間ができた
先生のサポートもありがたいですし、Student Serviceでキャリアの相談や医務室で診察が受けられること、遠足があったことも良い思い出です。ちょっとだけ学生に戻ったような気分にも浸れました。
ちなみにマウントダンデノンやペニンシュラへの遠足をはじめ、シドニー旅行、スポーツ観戦など学校の主催の学生交流イベントは割引価格(50%引きくらい?)で参加できるのもうれしい特典です。
何よりも無料で勉強ができることがありがたかったですし、それにぼくと同じようなパートナービザで移住した人、これからオーストラリアでがんばっていこうという「仲間」に出会えたのが何よりも心強く、励まされました。お互いの将来計画を話し合ったり、励まし合ったりした経験はかけがえのないものと思います。
みんなの事情もそれぞれで、英語は得意じゃないけれど事業で成功している人、警察官になろうとしている人、学んで仕事を得ようとしている人などと話して、生き方やキャリアの選択肢があるんだと改めて勇気をもらいました。
【では良くなかった点をあげると】
うーん、あえて上げるとAMEPがLevel 3までというのがちょっと不満でした。もちろんこのレベルでも学ぶことがありましたが、より高いレベルでという思いはありました。ただ、これは政府のポリシーなのでどうしようもありません。
むすび
AMEPでTAFEに行こうと思った理由のひとつが、オーストラリア社会のことを知るなら教育機関に潜り込むのが良いかもしれないと思ったことです。学校は社会の縮図だし、人に会って情報収集ができるし、うまくいけばオージーの価値観を理解できるかもと考えたからです。もちろん、クラスは移住者だらけなのでオージーばかりと話したわけではありませんが、豪社会のことを学べ上記のように得たものは多かったように感じています。
今は目の前の仕事に集中したいと考えていますが、もっと勉強したくなりました。というか3年以上後のことを考えるともっと勉強しなきゃなという気持ちが強くなっています。近い将来また学校(Post Graduate)で学ぶというのが目標に加わりました。またTAFEにはショートコースもありますから、仕事のスキル磨きのためにさっそく2ヶ月後くらいにひとつ講座を受けようかと考えています。
おすすめできるところとそうでないところ
AMEPを受ける資格のあるビザ(パートナーなど)をお持ちの場合で、オーストラリアに来て間もない場合はAMEPを受けてみるのは良いことと思います。ただ、オーストラリアにもう数年住んでいてオージー英語に問題ない場合や、実務で英語を駆使していた人には物足りないでしょう。正直、永住権をすでに持っているもしくはお金に余裕(数百万の授業料が払えるくらい)があるとしたら、ぼくもAMEPではなく大学(UniのPost GraduateかTAFEのメインストリーム)に通っていたと思います。
ちなみにキャンパス内では日本人には計3人としか会いませんでした。(あともう1人いたらしいですが)。そのうちAMEPはぼく以外に1人だけで、あとはワーホリと留学の人たちでした。そしてぼくのクラスでは日本人は最初から最後までぼくだけでした。
以上、AMEPを振り返っての感想でした。AMEPに関心のある人のお役にたてればと思います。お読みくださりありがとうございました。
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