東京ほどではないのかもしれませんが、メルボルンではたびたびちょっとマニアックな、面白いイベントが行われます。万年筆の見本市もそのうちのひとつ。11月末には毎年恒例のMelbourne Pen Showがシティから東側Malvernにて開催され、万年筆ファンとしてはずっと気になっていたのですが、ついに今年は足を運ぶことができました。
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会場となったのはMalvern Town Hall。歴史ある建物(1886年にオープン)で、ウェディングやコンサートなどにも使われる施設だそうです。外見の白い時計台が印象的です。
床は一見すると年季が入った体育館のもののようですが、天井の装飾が美術館みたいな荘厳な感じがします。
いざハンティングへ
万年筆の見本市といっても、新製品が出ているという感じではなくて小売店の在庫整理&掘り出し物の市場といった風でした。
昔はパーカーだったかコンウェイ・スチュワートだったか忘れてしまいましたが、オーストラリアでも英国ブランドの万年筆を作る工場があったそうです。その時の製品かはわかりませんが、時々アンティークマーケットで1960年代のコンウェイ・スチュワート58を目にすることがあります。今はオーストラリア産の万年筆の大きなメーカーは(ぼくの知る限り)ありませんから、ビンテージ品や日本やドイツの万年筆やインクなど輸入品が主力商品のようです。
見本市に置かれていた商品は新品と中古品の万年筆をはじめ、インク瓶、筆箱、ペン立て、あとはカリグラフィー用のペンやインク。
実は日本の某社のインク瓶も置かれていました。こちらの万年筆愛好家に人気の製品です。ちなみに日本では1400円くらいですが、こちらでは48ドルくらいします……。なので、日本から万年筆好きなオーストラリア人へのお土産としては喜ばれること間違いなしですね。
商品販売だけではなく実演ブースも
物販だけではなくて、万年筆の木軸を削ってオリジナルの木製軸万年筆を売るおじさんがいました。みるみると美しい木軸が出来上がるさまをまじまじと見つめてしまいました。
あと興味深かったのはカリグラフィーの実演ブースがあったこと。細い線から太い線へ自在の幅で文字を書いていました。使っているオレンジっぽいインクはどこで買ったのかを訊いたら、「これはスミっていうの」と。意外にも日本の習字で使う朱墨と一緒のモノだったわけです。
万年筆と書くことの魅力を再確認
万年筆を12歳の時に買ってもらって以来万年筆派のぼくとしては至福の時間と過ごせました。美しいペンやカリグラフィーを観て「目の保養」になっただけではなくて、書くことっていいなと万年筆の魅力を再確認できました。
万年筆はずっと使えるところがぼくは好きです。うまく手入れすれば何十年、ひょっとしたら一生使えるし、書けば書くほど手に馴染んできます。今の時代はペンは数百円で買って、使い捨てということが多いです。ある意味便利な時代なのかもしれませんが、ものを大事にしようとか、愛着を持って使う楽しみとかが得にくくなっていると考えます。ましてや「筆をとる」よりもPCで打つほうが早いし、凡庸性も高いですから書く行為そのものが減っています。
でも、万年筆みたいに時代に少し逆らって、手入れの手間があるものの使い込んで書き味を自分のものにしていくのはこういうモノに溢れた時勢だからこそ魅力を感じます。
万年筆に興味のある人でメルボルン近郊にお住まいの場合は必見のイベントと思いました。
公式HP Melbourne Pen Show
ちなみに戦利品はこちら
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